「御書印帖」
その書店は新聞の記事で偶然みつけました。暮れや年始の特別な雰囲気や「ハレ」の場が苦手な人のために、年末年始に意識的に営業するようにしている、ということで取り上げられていたのです。新年は家族で「だんらん」の時をすごすべき、という雰囲気に同調圧力を感じる人や、夫の実家に帰るのがちょっと憂鬱など、年始の雰囲気や行事からの一時的な「逃避場所」になったらという意図のようでした。年末年始の特別な雰囲気はいやではないのですが、もともと人込みは苦手、そういえば子ども時代の年始の親戚の集まりもお年玉がもらえても、年の離れた従兄たちや大人たちばかリに混じってそこにいることが気づまりだった記憶はあります。ともあれ時間がたっぷりある年始の貴重な数日間に、静かな書店でゆっくり本を選べるなんて本好きにとっては至福の時であることは確か。意外に場所も近くにあると知り、訪れてみたのは1月3日のことでした。こじんまりとした静かな空間に中身はぎっしりという感じで、本の見ごたえも予想以上。今まで知らなかった好きな作家のエッセイ集もみつかり、それを購入する時にレジのカウンターで配布しているのをみつけたのが「御書印帖」です。寺や神社の御朱印を集めるのが「御朱印帳」ですが、こちらは各書店オリジナルの「書店印」を集めるのが目的。そもそも各書店に固有の「書店印」があることも知りませんでした。そんなにあちこちの書店を巡れるだろうか?と出不精としては自信がなく、その時は断念しました。しかし先日2度目に訪れた時には、始めるきっかけにと「御書印帳」を1冊いただくことにしました。さっそくこの書店の立派な「書店印」が「御書印帳」の1ページ目に押されました。全国の「御書印帳」参加書店リストをネットで調べてみると、今まで行ったことのある都心の書店や近隣の書店も意外にみつかりました。今度はこの「御書印帳」を携えて訪れるのを楽しみにしています。(A)