女、今日も仕事する

大瀧純子著 ミシマ社(159/O83)

国は女性にぴかぴか輝けと要求するし、巷には「スーパーママ」やバリバリ働く女性たちの体験などがあふれている。しかし、ごく普通に働くことさえ難しいのが現実ではないだろうか。大変な思いをして仕事についても、相変わらず女性であるがゆえの困難が立ちはだかる。本書の著者も就職後に男女差別を感じたり、妊娠して頑張ったものの退職、在宅勤務で契約した会社の社長となるもクビに・・・などまさに山あり谷あり。どうやったら周りも自分も幸せに、よい仕事を続けていけるかをやさしく語りかける。(M)

 

"悪夢の超特急"リニア中央新幹線

樫田秀樹著 旬報社(686.2/K)

9兆円をかけて東京と新大阪を1時間ちょっとで結ぶプロジェクト-それがリニア新幹線だ。電力を大量に使い(一説によれば原発一基分)、地下の水源を枯らす、残土の問題もあるという。一方で、経済の活性化につながり、地方の復興も期待できるとされている。いずれにしてもこれほど大規模な事業でありながら知らないうちにどんどん進んでいるような気がする。しばらく前にはご近所の橋本も停車駅の候補とニュースになっていたように思う。古い言い回しだが"狭い日本、そんなに急いでどこへ行く"・・・。 (M)

 

14歳からの戦争のリアル

雨宮処凛著 河出書房新社(319.8/A)

イラク戦争の従軍元兵士、戦場への「出稼ぎ労働体験者」、太平洋戦争の体験を語る俳人や女優、拉致を体験したボランティア活動家、徴兵制を拒否し亡命した若い韓国人。本書では「戦争とは?」が実に様々な立場から厳しく問われている。戦争の「リアル」の渦中に本当に置かれたとき、普通の日常に慣らされた平凡な自分に何ができるのか?容易に答えは出そうもないが、こうして「知ること」(読むこと)がその答えへの一歩には欠かせないことは間違いない。(A) 

 

銀幕のハーストーリー:映画に生きた女性たち

松本侑壬子著 パド・ウィメンズ・オフィス(778.2/M)

本書は映画を通して女性の生き方を描く「映画女性史」である。社会が女性に課してきた役割や振る舞いの変化、それらを演じる女優自身の生き方の葛藤そのものも映像は浮き彫りにする。そして女性監督自身による文字通りの「her story」の登場。ネットなどで時代、ジャンルを問わず映画に出会えるチャンスが豊富な今こそ、こんな本を導き手に思いのままに映画を次々と見ていければ、格別の体験ができそうだ。(A)