ファストファッションはなぜ安い?

伊藤和子著 コモンズ(589.2/I)

量販店の衣料品店売り場で売られている服。その値段の安さに驚きつつ、服につけられたタグを見てみると、その殆どがアジアのどこそこ製と印刷されている。そしてその安さの理由に思い至る。これを作った人の賃金って...。安ければ有難いけれど、それでいいのか、立ち止まって考える必要がある。(Y)

 

働く君に伝えたい「お金」の教養 : 人生を変える5つの特別講義

出口治明著 ポプラ社(159/D53)

年を取ってからでは遅い。若いうちから考えたい賢いお金との付き合い方。お金に振り回されず楽しく生きていく方法を、「使い方」「殖やし方」など5つのテーマに分けてわかりやすく解説する。転ばぬ先の杖、もっと若いうちにこうした本を読んでおけばよかったが、もう遅い?(Y)

 

16歳の語り部

雁部那由多・津田穂乃果・相沢朱音著 ポプラ社(369.3/G)

東日本大震災から5年。当時東松島市で小学5年生だった3人が「あの日」に感じたこと、体験したことを自分たちの言葉で語り始めた。語り部になるという決意には強い使命感が秘められている。子どもとしての経験を語り伝えることができる最後の世代であるという自覚-それは自分たちより下の世代だと何が起きているか、理解していない、あるいは覚えていないかもしれないし、上だと大人の目になってしまうという意味だろう。自然災害から逃れられないこの国に住む私たちはみな「未災者」として彼(女)らの語りに耳を傾けたい。(M)

 

少女たちの明治維新:ふたつの文化を生きた30年

ジャニス・P・ニムラ著 原書房(281.04/N)

明治4年に3人の少女が官費女子留学生としてアメリカへ渡った。教養と語学を身につけた彼女たちは今でいえばスーパーエリート!思う存分その才能を活かして活躍したかっただろうし、政府も送り出すときはそのつもりではあった。しかし帰国した彼女たちにその場はなかった。ひとりは有力者との結婚を通して学んだことを活かそうとし、もうひとりは元祖ワーキングマザー。そしてあとひとりは試行錯誤ののちに自分の学校を創るという目標を定め、実現までの長い道のりをゆくことになる。意志の強さと同時に、その夢のために助けあうシスターフッドにも胸を打たれる。(M)

 

ルイザ・メイ・オルコットの秘密:煽情小説が好き 

廉岡糸子著  燃焼社(93A0.23/A41-K)

「煽情小説」ではヒロインが偽装、重婚、殺人などに手を染めるようなストーリーが多く描かれる。それを『若草物語』で有名なルイザ・メイ・オルコットが、好んだというとちょっと驚かされる。しかし作品には、当時の社会が女性に強いる理想像や規範に挑もうとする「もくろみ」が潜んでいた。オルコットの作家としての全体像に迫る一冊。(A)  

 

女子大で『源氏物語』を読む:古典を自由に読む方法

木村朗子著 青土社(913.36/Ki39)

本書は女子大で著者が半年間実際に行った『源氏物語』の講義を収録している。『源氏物語』は女性によって書かれ、最初の読者も後宮の女性たちだった。女子大で、つまり女性目線で『源氏』を読む事は実は当時の「読書環境」にも最も近いのだ。そのせいか講義に対する学生たちの感想やコメントもかなり鋭く突っ込んだものも多く、生き生きとしている。こんな講義なら出てみたい。(A)