世界で働く人になる! 実践編

田島麻衣子著 アルク(336.4/T)

著者は20歳にして海外に長期滞在したのを皮切りに、以後9カ国に住み、現在は国連機関の職員をしているという。また、一児の母でもある。そのバイタリティはどこからくるのか。これから海外に雄飛しようという人は勿論、国内で働く人にとっても、彼女の生き方は大いに参考になるのではないか。私ももっと若い頃読んでおけばよかった!? (Y)

 

宝塚戦略:小林一三の生活文化論

津金澤聰廣著 吉川弘文館(335.1/Y)

日本屈指の実業家であり、阪急宝塚グループの創業者でもあった小林一三は、いかにして「小さな湯の町宝塚に」、100年を経てなお発展を続ける宝塚歌劇団を設立したか。また、美術品を蒐集し、茶の湯を嗜むなど、文化にも非常に造詣の深いところが、ただの実業家ではないと思わせる。原本は1991年に講談社より出版。新しい情報というよりも、小林一三の人となりを知る上で参考になるのではないか。(Y)

 

1924:ヒトラーが"ヒトラー"になった年

ピーター・ロス・レンジ著 亜紀書房(289.3/H)

「歴史に"もしも"は禁物」とはよく言われることだ。しかし著者はあえて「もしヒトラーが1924年に刑務所にはいっていなかったら」と問い、この刑務所での1年がいかに「ヒトラー形成」に重要であったかを語る。収監中にヒトラーは巧みに権力を掌握していき、当初の激しやすい革命家から政治家・未来のナチ党党首へと変貌する。出所後、彼のいた監房は聖地として観光名所にまでなってしまった。恐ろしいのはここで語られていることが現代にも通じるということだろう。  (M)

 

3つのゼロの世界:貧困0・失業0・CO2排出0の新たな経済 

ムハマド・ユヌス著 早川書房(335.8/Y)

貧困も失業も二酸化炭素排出もゼロという世界の実現-とてつもなく困難なことのように思えるが、かつて貧しい人々に融資することで自立を支援し、ソーシャルビジネスという手法を提唱したユヌス氏は本書でも様々なアイディアを披露する。先日もユヌス氏が吉本興業と連携し「笑い」で社会問題を解決する道を探るというニュースがあった。私たちは今、あまりにも多くの問題を目の前にして途方に暮れているが、ユヌス氏の柔軟な発想は希望を与えてくれる。(M)

 

マルコとパパ : ダウン症のあるむすことぼくのスケッチブック

グスティ作・絵 偕成社(378.6/G)

ダウン症の男の子と家族の生活がメインテーマだが、副題にスケッチブックとあるようにカラフルな手書きの文字や絵が満載の楽しい本になっている。父親である著者のダウン症の息子を受け入れることへの葛藤や息子の振る舞いを理解する家族の大変さもにも目をそらさないが、そんな苦労や戸惑いを吹き飛ばしてしまうような明るさと愛情にあふれたスペイン発の一冊。(A)

 

問題だらけの女性たち

ジャッキー・フレミング著 河出書房新社(367.2/F)

この本を読んで、あなたは(もし女性なら)憤慨しますか?呆れますか?それとも今でも「あるある」ばなし?作品は好きなのにこの画家もこんな女性観だったのか、と複雑な気持ちになったり・・・。ともあれ女性たちのとてつもなく長い「ため息」をユーモアの世界に昇華させた著者に心からの拍手! (A)