はんこと日本人

門田誠一著 吉川弘文館(739/M)

書名をぱっと見て、某テレビ番組で取り上げられた、はんこの大好きなフランスの若者を思い出してしまった。それはさておき、日頃私たちが何気なく使っているはんこだが、由来を辿ると結構奥が深かったりして。はんこの歴史を繙くと、日本文化の一端が見えてくる。(Y)

 

世界史を大きく動かした植物

稲垣栄洋著 PHP(471.9/I)

人間が生きて行く上で必要不可欠な植物。「歴史を動かした」植物と聞いて真っ先に頭に浮かぶのは「稲」や「小麦」だが、「穀物の栽培が始まって人間は定住し始め、国が興り...その国々が争い」というようなことを学校の授業で習った記憶がある。本書では、他にもコショウやトウモロコシなどが取り上げられていて、これらは「そうだよね」と納得。トマトについては知らなかった。歴史好きの方にもおすすめです。(Y)

 

未来をはじめる:「人と一緒にいること」の政治学

宇野重規著 東京大学出版会(311/U)

私たちには何もできないところで社会が大きく変わるようなことがどんどん決まっていく感じがするこのごろ。政治に関心を持ちようがない、というのが正直なところだろう。この本は政治の基本は「人と一緒にいること」ととらえ、高校生と共に考えていく。人はそれぞれ「違い」がある。一緒にいることは素晴らしいことだが、時には辛いこともある。それを認めることから政治は始まる。    (M)

 

小笠原が救った鳥:アカガシラカラスバトと海を越えた777匹のネコ

有川美紀子著 緑風出版(488.4/A)

小笠原は陸地から遠く離れた島であるため、島固有の生物が多く生息している。アカガシラカラスバトもその一種だが住民が気がつかない間に絶滅寸前の状況になっていた。人間が島の外から持ち込んだネコが野生化して襲っていたのだ。単純に考えれば、それならネコを捕まえて「処分」ということになる。しかし小笠原の人たちはそのような方法を取らず、野生動物研究者、獣医師、行政とともに島ぐるみで保護活動を展開し、アカガシラカラスバトもネコも救ったのだ。そしてその活動は人々の意識も変えた。アカガシラカラスバトは「小笠原を救った鳥」ともいえるのかもしれない。  (M)

 

何かが後をついてくる:妖怪と身体感覚 

伊藤龍平著 青弓社(388/I)

暗闇で何かがいて見られている。見えないけれど気配を感じる。視線、音、匂い、感触など人は五感で「妖怪」の存在を感じてきた。座敷わらしから東アジアの妖怪まで、様々な妖怪の五感体験に恐怖の源を追う。 (A)      

 

朝、目覚めると、戦争が始まっていました

方丈社編集部編 方丈社(210.75/A)

太平洋戦争が始まった1941年12月8日の一日に著名人たちは何を思ったのか。読んでいると次第にその日にタイムスリップしたような感じがしてくる。不安や絶望の一方で、むしろ何か新しい局面に乗り出すという期待感や清々した気持ちが多く語られていることへの驚き。深刻な状況の始まりを日常の中で直視することがいかに難しいか。過去のこととも他人事とも思えない。 (A)