愛される街:続・人間の居る場所
三浦展著 而立書房(361.7/M)
「住んでみたい街ランキング」のようなものをしばしば目にするが、街の魅力とは何だろう?何を重視するかは人それぞれ。本書ではそれを「愛される街」と定義して、子育てや介護、コミュニティ作りといった観点から様々な事例を紹介している。人々が住み続けたいと思い、その街に関わっていく-そんな場所がこれからの「人間の居る場所」になっていくのではないか。 (M)
鳥獣戯画の国: たのしい日本美術
金子信久著 講談社(721.2/K)
人間のようにふるまう動物は、現代でもマンガやご当地キャラなど日本では珍しくない。ふだんは意識しないけれど、全く違和感がないのも不思議といえばふしぎ。しかしこの本のページを次々とめくるだけで、すぐその理由がわかるはず。鳥獣戯画の遺伝子を時を超えて受け継いだ、沢山の愛すべき動物たちにぜひ会ってやってください。(A)
目の見えない私がヘレン・ケラーにづづる怒りと愛をこめた一方的な手紙
ジョージナ・クリーグ著 フィルムアート社(289.3/K)
苦手な偉人伝もヘレン・ケラーは別だったのだが・・・。その「ヘレン・ケラー」の「模範的障害者像」が障害者当事者たちにとってどれだけの重い「呪縛」であったか。気づかずに読んでいた自分にもショック。「悪霊」と表現するほどのヘレンに対する著者の激しい怒り。しかし実はヘレン自身も「自画像」に自縄自縛のだったのでは?とも著者は思い至る。「怒り」なくしては開けない新たな扉もあるのだ。(A)
「犠牲区域」のアメリカ:核開発と先住民族
石山徳子著 岩波書店(539/I)
北米大陸の先住民族として知らない人のない「インディアン」の人々は、数世代にわたって環境汚染、とくに核開発の脅威にさらされています。本書は、土地を守ろうと声を上げる人々の現状と歴史的背景を、彼らの声を聴く立場から解き明かしています。BLM(Black Lives Matter)にも通じる問題の所在がはっきりと見えてきます。 (T)
植物園の世紀:イギリス帝国の植物政策
川島昭夫著 共和国(470.7/K)
ロンドンにある王立キュー植物園の大きなガラス温室(パームハウス)が5年の歳月と60億円をかけて改装されたのが2018年、その壮麗な姿をご覧になった方も多いと思います。本書は、その起源が近代イギリスの植民地経営にあったことを、植物園に関わった多くの人々の姿と共に描きだします。ありそうでなかった本、と言ってよい好著。副題に Botanical Garden 1759-1820。 (T)
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