香港で社会運動を学び、学生と交流
7日目(2月26日)は香港の若者と交流を深めた一日となりました。午前中に旺角駅にあるSACOM(Students and Scholars Against Corporate Misbehavior)という企業の労働搾取問題解決に取り組むNGO団体を訪問しました。この団体は香港で活動しながら、中国本土での労働問題を取り扱っています。昨年にFoxcon という米国の電子機器販売会社のAppleの下請け会社による大学生の労働搾取の実態を明らかにしました。スタッフのソフィアさんと海外の報道番組で解説者としても活躍なさっているマイケルさんにお話を伺いました。SACOMの主な3つの活動としては、(1)中国政府が労働組合を決めるのではなく、工場が労働組合を決められる民主主義的な制度を設けるように働きかける(2)労働者に労働者としての権利を気づかせる、(3)企業に工場の労働環境改善や適切な賃金設定のための組合との対話を働きかける、を軸にしています。また中国以外の国での活動もしています。例えば、日本の服飾メーカーのユニクロの製作工場で働く労働者たちが、時間外労働手当の未払いや労働環境改善を訴えて、工場の中と外で抗議行動を際に、アドバイスをしたり、サポートをしたりしました。お話を聞いた後は、近くの中華料理屋で昼食を共にし、フランクな話などもして、交流を楽しみました。
午後は香港中心部から少し離れた屯門虎地にある嶺南大学の社会文化学部のパフォーマンス学の英語クラスに参加しました。教室は机がなく、椅子と舞台と照明が天井にあるだけでした。生徒は香港学生だけでなく、ベトナム、メキシコ、中国本土からの交換留学生も交じっており、国際色豊な授業でありました。今回はタイ北部に集団生活をしているラオスからの難民キャンプの中で起きている社会問題をパフォーマンス学で表現する授業でした。嶺南大学の学生は事前課題図書の内容や感想、疑問点をみんなと共有し、他文化理解の難しさや、他文化へのアプローチの方法などを確認しました。その後、キャンパス内の人の行動で印象に残ったもの、自分とは違うと思ったことなどを探しに行くために教室の外に出て、人間観察を行いました。教室に帰って来た後はそれらを共有し、実際に見た人の行動を真似して、他の学生がなんの行動をしているのかを当てるアクティビティをして、他人が表そうとしていることと自分自身の解釈のズレがあること、異文化理解への姿勢というものを学びました。その後香港島からJETフェリーに乗り、50分程度離れているマカオへ向かいました。中国へ返還されて20年目を迎えている香港の「今」を感じた香港FSは楽しく、無事に終了となりました。
(平井、英語コミュニケーション学科卒業生、韓国聖公会大MAINS留学中)


