「タイ・カンボジア短期FS」のブログを更新しました。【2月6日】「JLMMとゴミ拾い生活者の暮らし」
2019年02月12日
2月6日はゴミ山生活者を支援しているJLMMを訪問しました。まず、長年、現地で代表を務めてい浅野さんからお話を伺いました。JLMMは1998年にカンボジアでの活動を開始し、2003年に今の施設をつくりました。日本の大手食品企業から6年間の援助を受けていたこともあります。JLMMの活動は大きく分けて3つあります。「子どもの教育」「母親の教育」「仕事の提供」です。
JLMMがあるプノンペン郊外のステンミエンチャイ地区には以前ゴミ集積場がありました。そしてその当時から現在に至るまでゴミを拾って生計を立てている人たちが多く住んでいます。地方の農村で農業をしていた人々が様々な理由から仕事を求めてステンミエンチャイ地区に来ました。しかし技術や教育がないために仕事に就くことが難しく、ゴミ拾いの生活を始めることになりました。
カンボジアでは、学校に通っていなかった親が教育を受けることを要視しておらず、子供を学校に通わせずに労働力として見ていることがあります。また、ポルポト政権に「教育」が破壊されてしまったために、現在「学校の先生」として働いている人の中にも「良い先生」というものがわからない人がいます。そのため、子どもたちへの教育が思うようにできておらず、勉強についていけなくなる子どももいます。JLMMでは、小学校で教育についていくための基礎的なことが学びます。平日の午前中に80人くらいが通っています。貧困のため小学校に行けず、JLMMでの教育が最後になる子もいます。3.4歳のクラスでは鉛筆の持ち方や塗り絵、4〜5歳のクラスでは保健衛生や道徳や文字の読み書き、それ以上のクラスでは足し算と引き算や読み書きについて教えています。また、豆乳とお昼ご飯を提供しています。
2つ目の活動として、託児所と母親に向けた栄養改善セミナーと保健衛生セミナーの開講をしています。日本でいう家庭科のような授業がないため朝食の大切さ、噛むことの大切さなどを知らない人が多いです。他には妊娠授乳期にとるべきご飯やバランスよく食べることについても教えています。また、衛生環境が整わないことで病気にかかるリスクが上がることについてや家族計画や性病についても教えています。さらに仕事をしていてセミナーを受けられない母親のためにセミナーを受けた人をコミュニティセルフワーカーとして教育しています。
3つ目の活動は仕事の提供です。カンボジアではゴミを同じ集積所に集めた後に分別しています。そのためゴミを拾って生計を立てている人々はガラス片を踏んで怪我をしたり有害ガスを吸って病気になったりすることがあります。そこでJLMMでは流行りのお菓子やアイスなどの屋台の貸し出しをしてゴミを拾わずに収入を得られる仕事を提供しています。しかし人によっては売り込むのが苦手で売り上げが伸びず、ゴミの収集をする仕事に戻ってしまうことや40代くらいになると暑いカンボジアで1日外で販売をする体力がもたずにやめてしまうこともあるという現状があります。
そのあと、ゴミ拾い生活者のコミュニティに移動しました。前にも書いたようにそこにはゴミ山からゴミを拾って生活している人たちがいます。また、ゴミを拾って生活をしているだけではなく、そのゴミを入れるための袋を作って販売している女性もいました。1つ2000リエルで販売しています。その袋は肥料が入っていた袋を綺麗にして再利用しています。ところどころに、綺麗なトイレが置いてあるところもありました。浅野さんによれば、トイレを利用している人たちがトイレを綺麗に使うことの大切さを理解して、NGOが作ったトイレを綺麗に使い続けているそうです。
次に、旧ゴミ集積場跡を歩いて回りました。そこは2009年にゴミがいっぱいになってしまったために閉鎖されました。「ゴミ山」にはガスが溜まっています。そのため、政府は今は土地に手をつけないそうです。ただ、急速に開発が進むプノンペンです。いつかは開発の手がここまで伸びて、土地の値段が上がり、集積所周辺に住んでいる人たちが追い出されないとも限りません。
最後に、JLMMで学んでいる子ども達と一緒に遊びました(注)。子どもたちはとっても元気いっぱいでした。子供たちが食べているお昼を味見させてもらいました。具沢山のおかゆのようなものが提供されていました。子どもたちに触れて、この子たちの未来を思わずにはいられませんでした。
*注:子どもの写真は、彼らの人権と安全に配慮して公開致しません。
(国際社会学科2年/村野有香、馬場向子)
なお、タイ・カンボジア短期フィールドスタディ(FS)の様子はFacebookでも
実況中継していますので、ご覧ください。
また、本学は「国際性」の分野で2年連続首都圏女子大1位、「学生の留学比率」で全国女子大2位(全大学中11位)の評価をいただいています。アジアや欧米で本学が実施する多彩な海外プログラムについてはこちらでご覧になれます。