歴史の研究は、時を旅することです。時の流れをさかのぼったり、過去の時点から流れに沿って下ったりしながら、政治・社会の移り変わりや、技術の発達や、人々の暮らしや物の考え方の変化を調べます。とはいえ、タイム・トリップのための特別なマシンはまだ発明されていませんので、昔の人々が残した記録や手紙などの文書、道具や衣服、建物や都市や道路の跡などが過去への旅の手がかりとなります。
そこで日本史の3年ゼミの春学期には、昔の文章で書かれた史料を読んで解釈できるようになることを目指します。秋学期には各自が関心を持っている日本史のテーマを選んで、1ヶ月以上かけて調査して発表し、その内容を研究レポートにまとめます。
ふつうゼミは教室で行いますが、10月の晴れた日に教室を出て見学に行きました。行き先は多摩センター駅近くの東京都埋蔵文化財センター。ここでは多摩ニュータウン建設のときに発見された遺跡や遺物を調査し、保存し、展示しています。このあたりは紀元前の縄文時代に人々が暮らしていた所なので、展示の中心は縄文時代の遺跡・遺物です。土器に縄目で模様をつけて昔の土器作りを体験するコーナーや、縄文時代の衣服を試着できるコーナーもあります。展示室を出ると、縄文時代にあった木々が茂る縄文の森が広がっています。森の中にはそのころの人が住んでいた家が復元されていて、中に入ってみることもできます。縄文時代の体験をしてきた学生たちの声を聞いてみましょう。
- ・昔の人の服や道具を再現したものを、実際に着たり触ったりできたのがよかった。
- ・縄文時代の家に入ってみると、土や木のにおいが近く感じられた。
- ・当時の家は狭くて寒いと思っていたが、実際に入ってみると意外に広くて暖かかった。
- ・縄文時代の家の中で、皆で炉を囲んでしゃがんでみると「当時はこうやってみんなで火を囲んで、ああして、こうして」と想像することができた。
- ・森の中にはカシやクヌギのドングリがたくさんあり、人々の食生活や自然とのかかわりを垣間見ることができた。
いかがですか?皆さんも一度行ってみませんか?