恵泉女学園大学の隣町、町田市の花壇コンクールに審査員として参加した。私だけでなく、ゼミの学生にも審査員をしてほしいとの依頼だった。
町田市の花壇コンクールは37年の歴史があり、春と秋の二回、市営の種苗場でボランティアの人たちが育てた苗を市民に配布する。まだ10センチにも満たない小さな苗だ。それを公園や団地内、道路沿い、あるいは学校で、それぞれ市民グループがボランティアで植えつけ、草取りや水遣りの世話をし、大事に育てて街角を美しく飾っていく。
花壇の審査なんて、私自身も学生もはじめての体験だった。そんなことできるはずがないのではと悩んだが、町田市から大学に正式に依頼があったのだから、責任を持ってやるしかないと、覚悟をきめて集合場所に向かった。
市役所の公園課の職員と市民団体から選ばれた審査員の人たちと合流すると、審査用紙が手渡された。四点の審査項目があり、それぞれ10点満点で採点することになっていた。審査項目は(1)「花壇のデザイン」、(2)「草花の生育状態」、(3)「手入れの状態」、(4)「総合美」。
350箇所以上の参加団体の花壇のうち、予備審査で選ばれた30箇所余りの花壇を駆け足で見てまわりながら採点する。はじめてなのに、なんとなく採点できてしまった。
長年のコンクールの経験のなかで編み出された採点基準は、かなり公平なものだと思われた。そこでいっしょに参加した学生には、ゼミ・レポートの課題として、この採点方法がどの程度公平なものか統計学で分析してもらった。
学生は統計の四苦八苦よりも、ボランティアの市民の人たちが街角を飾っていく生き生きとした姿から学んだことが多かったようだ。また市民の人たちも若い学生が花壇や花の世話に興味をもっていることを、とても喜んでくれた。
町田市からは、来年度以降も恵泉の学生に協力してもらいたいと希望がきている。