イギリス史を専門とする高濱ゼミでは、現在、アガサ・クリスティーの自伝を読んでいます。それも、結婚までの前半だけ。まだ推理小説家ではない無名時代のアガサの生き方から、1900年前後のイギリス社会を考えていきます。当然のことですが、今とは随分違うなと感じられるところもあれば、意外に共通するところもあります。この時代はとりわけ厳しい格差社会で、どういう境遇に生まれるかで、ずいぶん違った人生を歩むことになりました。歴史に「IF」(もしも)は禁句のはずですが、究極のIFで、「もしも私がこの時代に生きていたら・・・」ここで学生たちの声を聞きましょう。
「幼い頃のアガサと同じ位豊かな生活をして、母親とは別に、ばあやがいて、思いっきり甘えた子供時代を過ごしたい。」(リカちゃん)
「ちょっとだけ貴族に憧れる農民の子として生まれ、フランス語か何かの外国語を学んで、世界中を飛びまわってみたいと思っているはず。」(くまの学校)
「あまり良くない境遇の生まれとなったら、ハウスメイドにでもなって、決められたつらい仕事を毎日続けるでしょう。そして、貧しいながら楽しく生きて、社交界での華やかな恋とはいかなくとも、近隣の人と素敵な恋をしてみたいです。」(つぎはぎのマーメイド)
「わたしがこの時代に生まれたとしたら、おそらくどの階層に属していても満足しなかったろう。というのも、どの階層にあっても型どおりの生活を強いられたから、窮屈に感じたはずだから。結局、私は贅沢に慣れた上流階級の呑気な女として生きるのではないか、と思った。」(あじ)
「『どうしてフランス語を学ぶ必要があるの?私はイギリス人なのに』と文句を言っていたと思います。私が中学生の頃、英語を学ぶのを嫌がって『日本人なのに』と文句を言っていたように。(笑)」(アブー)
「自分が興味を持ったものは、遊びでも、仕事でも、できるだけ試すと思います。ですが、最終的には『普通の結婚』をして、その時代の流行を楽しむ『普通の生活』に落ちつく気がします。」(ドコモ)
こんな具合に想像はいろいろ広がるようです。私ですか・・・。アガサの父親みたいな生き方をしたいですね。どんな生活?その答えは『アガサ・クリスティー自伝』を読めば分かります。