誰もしらない「羅生門」?! 日本語日本文化学科

2011年01月21日
 投稿者:日本語日本文化学科3年 平山志保香・山口智美
 ゼミ/授業名:篠崎ゼミ(日本文学課題演習Ⅱ)

こんにちは!!
こちら日本文学課題演習Ⅱは『近現代「名作」批判』というテーマの下で、日々研究を行っているゼミです。
現在は各自卒業論文を意識しながら、近現代の「名作」を選び、「果たしてこれは名作といえるのか!?」という疑問を持ちつつ、論じるという作業を進めています。
近現代の「名作」とは、例えば夏目漱石『こころ』、芥川龍之介『羅生門』、太宰治『人間失格』・・・などです。

授業の流れとしては、1回の授業につき1人が発表をし、その後全員で発表内容についてのディスカッションをします。
ディスカッションは発表者も聞き手も真剣な表情で意見交換をします。
しかし!!時には各自の人生観や恋愛観など...様々な意見が飛び出し、とても盛り上がります!!(もちろん発表内容に沿った真面目な意見です!!)
そんな時はとにかく笑いが絶えません。
そして、我らが篠崎先生は優しく、時には厳しく的確なアドバイスをしてくださいます。
先生の言葉は私たちの活力となり、新たな発見、そして論に繋がっていきます。

さて、先日の山口さんの芥川龍之介「羅生門」についての発表はとてもセンセーショナルな内容でした!!
ここで山口さんに発表内容を紹介していただこうと思います!!

こんにちは、山口です。
今回私は芥川龍之介の『羅生門』について発表しました。その中から一部ご紹介します。

『羅生門』は多くの高校生が授業で習う、有名な作品です。しかし、このテクストにはいくつか不思議な点があります。
例えば、なぜ下人の選択は「飢え死に」か「盗人」の二択だったのでしょう。
これは極端な選択だと思いませんか?

すると「これは語り手が作った世界なんじゃないか」という意見がでました。

そこから話題は語り手へ。

そもそも語り手は一体誰なのでしょう?テクスト中には「作者」となっていますが、イコール作者(芥川龍之介)とは限りません。
この自分のことを作者と名乗る語り手はたくさんの情報を持って『羅生門』を語ります。
しかし、最後は「下人の行方は、誰も知らない」と責任を放棄するかのようにいきなり終わるのです。

そんなとき、おもしろい意見が!!
「もしかして語り手って...羅生門?」

じゃあこの物語は神聖だった自分(羅生門)に死体が置かれたという羅生門の憂いか?笑
でもありえなくはないです。物語は下人が羅生門の下で雨やみを待つところから始まり、出るところで終わるのですから。

・・・一部ですがこのように自分の疑問点を発表して、先生やゼミのみんなの意見を聞くことで新たな発見があります。
今日もどんな話し合いができるか楽しみです☆

授業以外では1月5日にゼミ旅行がありました。
横浜に行き、日本新聞博物館や神奈川近代文学館、大佛次郎記念館を見学しました。
中華料理やケーキも食べられて幸せ(^∪^)b笑

以上、こんな感じで楽しくやってる篠崎ゼミでした!

(補 写真は、春学期ご担当の小澤純先生もご一緒に忘年会をしたときのものと、ゼミ旅行で横浜を訪ねたときのものです。提供は平田あゆみ・桑山茜でした。)

忘年会

ゼミ旅行

担当教員:篠崎 美生子

日本の近代小説を一緒に読みましょう。国語の教科書などに載っている「名作」も、大人の目で読み直してみると、新たな発見があります。小説を読み、解釈することを通じて、「常識」を疑う力を身につけたり、言葉というものの重さについて考えたりしていきましょう。

篠崎 美生子