歴史の研究は、時を旅することです。時の流れをさかのぼったり、過去から現在に向かって流れを下ったりしながら、政治や社会の変化、技術の発達、人々の暮らしや考え方の変化を調べます。過去への旅の手掛かりとなるのは、手紙や日記や公文書や裁判記録、道具や衣服、建物の跡など、人々が生きたすべての痕跡です。
日本史の3年ゼミの春学期には、幕末維新の時代の人々が書いた手紙や記録を取り上げ、「候文(そうろうぶん)」という近世日本で使われた文体の史料を読んで意味がわかるようになることを目指しています。今は1853年にペリー艦隊が浦賀に来た時、最初にアメリカの軍艦に乗り込んで交渉した浦賀奉行所の役人とアメリカ海軍の将校との対話の記録を読んでいます。同時に、幕末維新期の事件や人物など、各自が関心を持っているテーマについて調査し発表しています。秋学期には日本史の分野で自由研究をします。
では、参加者にどんなゼミか紹介してもらいましょう。
★大学受験のときに初めて歴史をおもしろいなと感じました。このゼミをきっかけに歴史系の番組を意識して見るようになりました。幕末維新はほとんど勉強していなかったのですが、理解できてくると、いろいろな事件がつながりを持っていることがわかって、面白いです。
★「候文」がゆっくりでも読めるようになっていくのがおもしろい。漢字やくずし字が多いけれども、一文でもすらすら読めると気持ちいい。
★ふだん暗記するだけで、名前と簡単な概要しか知らないような事柄や、教科書に載らない意外な日本史の奥深いところが知られます。
★私は近代史や日本神話に興味があり、それを調査しようと考えています。今学期は和宮降嫁問題を中心に公武合体について調べました。資料を読み進めていくうちに、関連した事柄にも興味を持てます。アットホームなゼミです。
★私は海外から見た日本というものに興味をもっています。ここでは江戸時代の海外と日本の関係について調べています。先生からオススメされる本も面白いものが多いです。
★私は幕末期では新撰組や奇兵隊などの志士に興味があって、現在は白虎隊について調べています。雰囲気が温かく楽しいゼミです。
★幕末期でも人によって興味を持つところが違うので、自分が全く知らなかったようなことを知ることができました。新しい知識が入ってくるので楽しいです。
★私は歴史より、逸話を調べることや、民俗学が好きです。このゼミでは「どうしてそのようなことになったのか?」などを、調べることができます。
★「日本史=年号を覚える」と思っていました。が!そんなことはありません。私自身天保の改革~なんてのは、すっきり忘れてしまってます。(汗)このゼミは「日本史」をやっているのではなく、「その人やその事柄の歴史」をやっているのだと思ってます。歴史の裏側を知るのは、意外と楽しいですよ。
共同製作:阿部彩乃、倉茂美香、嶋田紀子、東海林真澄、鈴木愛、田中実香子、角田千恵、植木栄利加、村越友恵、梅澤ふみ子