日本語基礎演習III(文学) 日本語日本文化学科

2011年07月01日
 投稿者:篠崎 美生子
 ゼミ/授業名:日本語基礎演習III(文学)

この授業では、大学2年生の学生達と一緒に、夏目漱石「坊っちゃん」を熟読しています。「坊っちゃん」なんて中学生で読んでしまったよ、という読書家の方もいらっしゃるかもしれませんね。でも、なかなかこれ、奥が深いのです。一般にこの小説は、東京から田舎の学校に教師として赴任した若い青年教師が、大暴れに暴れ、悪者をやっつけて帰ってくる痛快な物語だと思われているのですが、よく読むと、そうとばかりは言えません。
学生達は、それぞれ1章ずつを担当します。担当箇所をなめるようにくり返し読み、疑問に思うところを考え、資料を調べ、口頭発表する――そしてみんなで議論する。こうしていつしか3ヶ月、みんなすっかり「坊っちゃん」に詳しくなりました。

以下は学生たちの紹介コメントです。

★「坊っちゃん」とただ読むのではなく、心情や背景など細かい描写から考察していく授業です。(Tさん)
――そうですね。なめるように読め、というのが私の口癖です。

★このゼミでは夏目漱石の名作といわれる「坊っちゃん」を通して"文学批評"をし、物事を様々な角度から見る力をつけようとしています。(Mさん)
――そのとおり。「名作」という評価を鵜呑みにしないのが我らの方針です。

★初めて「坊っちゃん」を読んだ時とは全く違った方面から読むことが出来て楽しいです。(Oさん)
――例えば、主人公が意外にお金に細かいとかいう発見がありましたね。

★おちゃめな篠崎先生と一緒に、有名な小説をひねくれた目線で読み解き、様々な解釈を導き出していきます。よく知っていたはずの物語から、全く違った内容が見えてくるのはとっても楽しいです!(Kさん)
――私のゼミを受講すると、韓流ドラマで泣けなくなるとよく言われます。

★本当に「坊っちゃん」は痛快な小説なのか? 本当は性格が悪いんじゃないかと追求しています。いろんな「坊っちゃん」像があってとても楽しいです。(Nさん)
――この人物、意外に小心者で裏表もあるようです。東京の「士族」を鼻にかけているのも、少し気になります。

★見た目、声など、ふわふわして可愛らしい先生ですが、やる時はやります。でもやるべきことをやっていれば大丈夫です。(Tさん)
――はい、やる時はびしっとね。

★1つのテーマに基づいて発表できるし、ゼミ生みんなの発表もきけます。先生も1人ずつしっかり見てくれるので、とても楽しいです(^_^)(Oさん)
――これからも、しっかり見ていきますね。

★「坊っちゃん」を深く読み込み、話し合うことで、今まで気づかなかった「坊っちゃん」の一面を知ることが出来る授業です。(Hさん)
――話し合いは発見の宝庫ですね。私もみんなの意見から、新たなことに気づかされたりします。

★「坊ちゃん」を他人より深く考える授業です。(Iさん)
――そのプライドに見合うがんばりを、皆みせています。

★「坊っちゃん」とはどんな物語か。裏の視点から考察する痛快ゼミ(Kさん)
――「坊っちゃん」より我らの方が痛快になっちゃいましたね。めでたし。

明るく楽しく、少し激しい「坊っちゃん」ゼミも、そろそろ大詰めです。全員の発表が終わったら、お祝いに松山名産「坊っちゃん団子」を取り寄せて、麦茶で乾杯することにしています。

図書館で資料検索!(撮影篠崎)

担当教員:篠崎 美生子

日本の近代小説を一緒に読みましょう。国語の教科書などに載っている「名作」も、大人の目で読み直してみると、新たな発見があります。小説を読み、解釈することを通じて、「常識」を疑う力を身につけたり、言葉というものの重さについて考えたりしていきましょう。

篠崎 美生子