伊藤ゼミでは、ヨーロッパやアメリカにおける美術の歴史を勉強しています。
勉強、といっても内容はさまざま。パワーポイントを使って美術作品の写真を見ながらの授業のほか、近隣の美術館で行われている展覧会を見学したり、実際に絵筆をとって絵を描いてみたりと、様々な活動を行っています。
今回はそのようななかから、テンペラ画の実習を紹介します。
現在では、水彩絵具や油絵具が絵画材料としては一般的ですが、ルネサンスの前半まではテンペラ画と呼ばれる技法が一般的でした。これは顔料(色の粉)を卵で溶くことで作ることができる絵の具です。
え、タマゴ?ちょっと不思議に思った人もいるかもしれません。卵の黄身は乾くと接着剤の役割をして、顔料を画面に定着させるのです。今から500年前までは、もっともよく使われた技法の一つでした。レオナルド・ダ・ヴィンチのような有名な画家も、若いころにはテンペラ画の訓練を積んでいます。
テンペラ技法を使って、巨匠の絵画を模写するのが今回の実習の目的です。うまく描ける人も、そうでない人もいます。でも、下手でもOKです。実習の目的は、当時使われていた技法を使って作品を模写することで、作品をよりよく理解することです。
美術作品は過去に制作されたもの、しかし現在までその姿を残して私たちに当時の人々の美に対する感性を伝えてくれものです。