人間環境(現代社会)学科では、後期の教養演習の中でフィールドトリップ(FT)と呼ばれる短期の社会調査に出掛けます。FTの内容は担当する教員の専門領域にしたがって様々です。武田徹ゼミでは授業期間終了後の1月末に一泊二日の京都FTを実施しました。
FTのテーマは全員共通のものが二つと各自の自由研究がひとつ。全員共通テーマのひとつは国際京都漫画ミュージアムを訪ねてマンガやアニメの歴史を知ること。マンガやアニメは、ただ趣味で読んだり、見たりするのではなく、メディア研究の対象になります。今回はその基礎固めとしてミュージアムに展示されている一世を風靡したマンガ作品をキュレーターに解説して貰いながら見て回りました。
もうひとつの共通テーマは、京都のカフェめぐり。カフェ=コーヒーサロンはメディアの歴史の中で重要な存在です。たとえば1688年頃にロンドンのタワー・ストリートに開店したコーヒー・ハウス「ロイズ」がひとつの先駆けとなり、カフェに様々な人が集まって話題を共有したことが「公論」を誕生させ、近代的な新聞メディアの誕生をも促したといわれます。カフェはそれ自体が人と人をつなぐメディアであり、マスメディアを生み出す苗床の役割も果たしました。京都は、東京と違って個性的な喫茶店が多くあり、常連客に愛されている街。そんな京都のカフェは、どのように人と人を繋ぎ、どのような文化を育んできたのか。実際に京都のカフェを訪ねて考えてみるのがFTのテーマです。
そして、個人研究テーマは各自で決め、秋学期ゼミの後半を使って事前調査した内容に応じて実地調査に当たります。たとえば昔ながらの「町屋」はどのように残され、利用されているのか、京都の都市計画はどのように進められているのか、喫茶店での照明はどのような空間を演出しているかなどなど。一泊二日で忙しいスケジュールですが、みな活発に、一日乗車券などをフル活用しつつ、冬の京都の街を駆け回っていました。
写真:京都国際マンガミュージアム。明治の雑誌や戦後の貸本などの貴重な歴史資料や現在の人気作品、海外のものまで約30万点を収蔵。研究者の研究にも対応してくれます。
京都駅ビルは地上16階の屋上まで屋外階段で上れる巨大な舞台のよう。夕食後に屋上で記念撮影しました。