沖縄フィールドトリップ 現代社会学科

2014年06月26日
 ゼミ/授業名:教養基礎演習II(上村ゼミ)

大きなテーマは、沖縄を事例に、現代社会を「総合的」に見ることです。大学教育は一般的に専門教育と考えられますが、それは自分の関心のある分野や自分の好きな視点からのみ社会を切り取ることにもつながってしまいます。しかし、現代社会が抱える問題は、複雑な構造を持ち、多面的にものを考える視点がなければ、なかなかその本質にたどり着くことができません。

その点、秋学期のゼミでは、関心に沿って、学生「自然チーム」「歴史チーム」「文化チーム」に分け、さらにその中で関心のあるものについて、各自が発表を行い、議論をします。こうしたプロセスの中で、沖縄を「総合的」に考えてきた結果を現地で検証するのがこのフィールドトリップです。 第一日目は、県立博物館で、沖縄の自然、歴史、生活・文化を確認し、有名な「万国津梁之鐘」を見ることができます。さらに、首里城に移動し、琉球時代の視点に触れますが、ここでは王朝時代のスイーツにもトライします。もちろん、この日の移動は、モノレール(ゆいレール)や市バスです。

第二日目は、マイクロバスを借りて、朝から南部にある「平和祈念資料館」に向かい学芸員の平田さんに沖縄戦の概略を伺った後、施設の見学をします。まじめに取り組むとやや気分も暗くなってくるので、やや早めの昼食は「浜辺の茶屋」という隠れ家的レストランです。(最近、このレストランも観光ガイドに出るようになりました!残念!)その後、王朝最大の聖地で、世界遺産の一つでもある「セイファー御嶽」を訪問します。ここでバスの中で一休みしながら、バスは沖縄島中部へ移動します。もちろん、米軍基地を見学し、日米安全保障条約という問題を考えるためです。北谷町にある「安保の見える丘」から嘉手納基地を眺め、最近オスプレイの配備された普天間基地は、沖縄戦の激戦地の一つ嘉数高台から見下ろすことができます。

そして、三日目は、基本的に徒歩移動です。沖縄の外洋航路の中心である「トマリン」、マシュー・ペリーが上陸した碑がある外人墓地を通り、庶民の食卓を飾る魚市場「ゆいまち」を見学します。その後は、近くにある沖縄式の墓地を見ながら、泊大橋を渡り、日本の支配構造が見える「波之上宮」と戦争犠牲者の記録を残す「対馬丸記念館」にも足を延ばします。 もちろん、これだけではありません。ホテルは国際通りに近いので、夕方や早朝はこの通りの周辺でさらにいろいろなものを学ぶことができます。

担当教員:上村 英明

先住民族は、その多くが自然との共存哲学を持つことから、核開発、森林伐採、生物多様性の減少など幅広い分野で環境問題に関わり、こうした環境を人権や文化から考える視点を提供しています。同時に、先住民族の権利から、近代社会が生み出した市場競争原理や大量生産・大量消費のライフスタイルの見直しの必要性を、歴史的にまた具体的に考えることができます。