鶴見川フィールドトリップ 現代社会学科

2014年08月22日
 ゼミ/授業名:教養基礎演習II(篠田ゼミ)

流域地図

「流域地図」は、一般的な地図とは異なり、川の流れに沿った地図です。山に降った雨が、森を流れ下り、集まり、やがて海に注ぎ込むまで、地形にそって形成される地図のことです。自然の地形に添っているとともに、人工的な地形の中も流れます。既存の地図から視点の転換が必要とされます。 そこでゼミでは、川の流れに沿って縮尺の大きな地図を貼り合わせたり、等高線に沿ってスチレンボードを切り抜いて接着した立体図をつくったりするなど、視覚だけでなく手を駆使してイメージ作りを行いました。

鶴見川流域フィールドトリップ

11月23日、鶴見川の源流から河口をたどるフィールドトリップを実施。鶴見川の源流は恵泉女学園大学にほど近い、多摩ニュータウンに隣接する森の中にあります。一日かけて源流から横浜市鶴見区の河口までをバスで移動しながら観察しました。
途中、鶴見川は暗渠になって見えなくなったり、再び川面が見えたりしながら多摩丘陵を下っていきます。都市を流れる河川は、水量が少なく流れが途切れてしまうことも多いのですが、鶴見川は下水処理水も流入させているため流量が多く、多くの生き物をはぐくみながら流れ下っていきます。

近年、ゲリラ豪雨や台風などの集中的な降雨で河川が氾濫することが多くなっています。洪水対策の機能がある恩廻公園調整池や日産スタジアムに隣接した多目的遊水地(鶴見川流域センター)を見学しました。

河口付近になると川幅も広くなり、工場や倉庫が立ち並ぶ湾岸地域になります。河口のミニ干潟や釣り客などでにぎわう鶴見川の川辺を散歩し、鶴見川の旅は終わりました。

恩田川
鶴見川の源流の一つである恩田川は、町田市内に源流を持ち、住宅街の中を流れる川にもかかわらず、豊かな湧き水によって支えられています。12月15日、「恩田川の会」の方たちが川の清掃や川の生き物調べをなさっている様子を高瀬橋付近で見学しました。川に投網を投げて魚を獲り、水槽に入れて観察します(観察した後は放流)。
水槽に入れた生き物調べをしていると、たちまち河岸を散歩していた近隣の人々が集まってきて、「この魚は昔からいたよ」「これは始めて見た」といった会話が弾みます。こうした交流によって会の活動が近隣の人々にも理解されていく様子が伺えました。

身近な川が、自然と社会の接点としての姿を見せてくれました。岸由二先生をはじめ、ご案内くださったすべての方に感謝いたします。

鶴見川フィールドトリップ報告書(PDF:1.0MB)

鶴見川源流最高度地点を示す標識

鶴見川流域センター屋上でNPO法人TR ネットのスタ ッフから説明を受ける

河口付近でバードウォッチング

獲った魚を水槽に入れて観察する

担当教員:篠田 真理子

姿の見えない影のようなものがじわじわと忍び寄ってきて、気がつくと身近なところにいる。ホラー映画の話ではありません。環境問題に対処するにはそのようなものへの想像力が必要です。影がはっきり見えてきて、その姿を互いに伝え合えば、対抗するやり方もわかってきます。だから私たちは何かを調べたり、人とつながろうとしたりするのではないでしょうか。

篠田 真理子