足尾日光フィールドトリップ 現代社会学科

2015年02月10日
 ゼミ/授業名:教養基礎演習II(篠田ゼミ)

足尾は、田中正造が強く反対した足尾鉱毒事件の現場です。今年の篠田ゼミのフィールドトリップ(FT)は、足尾、奥日光、東照宮をめぐり、歴史と自然について考えることをテーマとしました。
事前学習では足尾鉱毒事件について『足尾から来た女』(NHKドラマ)等を見ながら、時代背景や鉱毒被害に苦しむ人々の様子を学び、ディスカッションしました。
FTの詳細、及び学生の感想は添付されている報告書ファイル(PDF)を御覧ください。

1日目:11月15日(土)
1日目は、まず、わたらせ渓谷鉄道で足尾入りします。第三セクターで運営されている、遊園地に出てきそうな鉄道です。通洞駅に到着し、今日のガイドを務めてくださる「足尾まるごと井戸端会議」の山田功さんと落ち合います。なお、「通洞」という言葉は抗山用語であり、それが駅名にもなっているということで、鉄道が足尾銅山と密着していたことが伺えます。
まず、足尾歴史館で足尾銅山で栄えた足尾の町の歴史についてお話を聞き、ガソリンカーにたっぷりと乗車体験。毎月第一土曜・日曜に運行されるのですが、この日は特別に私達を乗せて走ってくださいました。

この後、山田さんの車で、足尾銅山の遺構を巡りました。要所要所で昔の写真などを拝見しながら説明をしていただいたので、現在との違いがリアルに感じられました。
山田さんに、道中、足尾と日光との交通や関わりについてお話をお聞きしながら、宿泊地である中禅寺湖畔までお送りいただきました。足尾と中禅寺湖は地理的には非常に近い場所にありますが、険しい山を間に挟んでいるので、大きく迂回して行くことになります。そのことが、煙害が中禅寺湖方面まで広がらなかった理由でもありました。

2日目:11月16日(日)
2日目は、まず、中禅寺湖からバスで戦場ヶ原に向かいます。ラムサール条約にも指定されている自然豊かな湿地です。標高が高く、すでに紅葉は終わっていましたが、冬枯れの茶色の草地と空の青がとても美しいコントラストです。寒さに震えながら、自然散策路を2時間ほど歩き、湯滝に到着。あまり有名ではありませんが、非常に壮大で迫力がある滝です。

湯滝周辺で昼食を取り、バスで下山。世界遺産に指定されている日光東照宮に向かい、見学。現地解散で帰宅しました。

旧足尾町は2006年に今市市・日光市・藤原町・栗山村と合併して日光市となりました。世界的に有名な観光地である東照宮と、公害といういわば負の遺産の記憶が残る足尾とを、観光としてどのように生かしていくのかが現在の課題の一つです。今回のFTでは、単に公害に痛めつけられた土地としての足尾だけでなく、日本の産業化を牽引し、繁栄した足尾の姿も紹介していただき、足尾という土地の複雑な背景を垣間見ることになりました。
「足尾まるごと井戸端会議」の山田功さん、足尾歴史館の長井一雄さんには、大変お世話になりました。感謝申し上げます。

現代社会学科フィールドトリップ 足尾日光

煙害によって廃村になった松木村跡地で山田さんに説明を聞く

戦場が原の風景

担当教員:篠田 真理子

姿の見えない影のようなものがじわじわと忍び寄ってきて、気がつくと身近なところにいる。ホラー映画の話ではありません。環境問題に対処するにはそのようなものへの想像力が必要です。影がはっきり見えてきて、その姿を互いに伝え合えば、対抗するやり方もわかってきます。だから私たちは何かを調べたり、人とつながろうとしたりするのではないでしょうか。

篠田 真理子