ギリシャは何故破産しないのでしょうか? 第1回 英語コミュニケーション学科
2021年12月16日
ゼミ/授業名:桃井ゼミ
現在の私は「英語コミュニケーション学科」の教員ですが、元々、写真家として、ドキュメンタリー作家として、世界140カ国を訪れ、様々な社会問題の現場【紛争、戦争、環境破壊、飢餓など】を取材してきました。
これらの経験を基に、今「世界はどのように動いているのか?」「地球はどのような状況にあるのか?」を学生たちに伝えています。それが私の担当する「表現力実践講座」や「国際情勢論」などの授業要旨です。
グローバル化した現在の世界では、国や人種、文化や歴史の違いを越えた高度なコミュニケーション能力が求められています。そうした能力の獲得を目指した恵泉の「英語コミュニケーション学科」では、「英語」+「コミュニケーション」というキーワードで、多彩な経歴を持つ教員が、きめの細かい教育を実践しています。
私が担当するこのブログでは、世界の取材の現場で多様な人々と出会い、交流を重ねた経験から見えてきた「コミュニケーション」を改めて考察します。
ギリシャは何故破産しないのでしょうか? 第1回
EUで経済危機の国といえば、筆頭に挙げられるのがギリシャでしょう。
2009年に表面化した同国の深刻な「国家財政」危機を救うため、2015年までEUが中心となって日本円で36兆円を融資しました。
ギリシャの人口はおよそ1千万人。東京都より300万人ほど少ない規模です。
ちなみに、東京都の総予算は訳13兆円。ギリシャの国家予算は11兆円(2015年時点)(「都予算13兆円、スウェーデン超え」日本経済新聞 2017年6月30日)。
つまり2009~2015年で、ギリシャには国家予算の3年分以上の援助資金が注ぎ込まれたわけです。
当然、お金を貸したEU側はドイツを中心にして、ギリシャに返済を実現するための厳しい要求を突きつけました。
返済は2060年まで続く予定とのこと。
日本総研の主席主任研究員である河村小百合氏は「足下の失業率はなお19%台。そんな調子の借金返済をあと40年も続けられるのか。これが地道な財政再建を怠り、国債増発を安易に積み重ねた国のなれの果ての姿だ」(東京新聞 2018年11月15日)と同国の借金問題へ否定的な見解を述べています。
ギリシャは2060年までの40年間、巨額な借金を本気で返す気はあるのでしょうか?
現地取材から見えてきた答えはNO!
そもそもギリシャ人には、EUから借りたお金を本気で返す気など、元から無いのかもしれません。それだけではなく、統計で記される失業率もギリシャではあてにならないのです。
担当教員:桃井 和馬
恵泉女学園大学特任教授 写真家、ノンフィクション作家 これまで世界140ヵ国を取材し、「紛争」「地球環境」「宗教」などを基軸に「文明論」を展開している。テレビ・ラジオ出演多数。第32回太陽賞受賞。公益社団法人「日本写真家協会」会員。主要著書に「和解への祈り」(日本キリスト教団出版局)「もう、死なせない!」(フレーベル館)、「すべての生命(いのち)にであえてよかった」(日本キリスト教団出版局)、「妻と最期の十日間」集英社、「希望の大地」(岩波書店)他多数。 大学では、「表現力実践講座」「国際社会論」「国際情勢論」などを担当。