「ことば」の研究と進路 日本語日本文化学科
2022年04月29日
ゼミ/授業名:栗田ゼミ
私たちの生活は、朝起きてから夜寝るまでいろいろな「ことば」に囲まれています。「おはよう」の挨拶、電車のアナウンス、大学での授業、友達との会話、SNSを使ったやり取り、ネットニュースなどなど。その中から、自分が興味を持った「ことば」についてデータを集め、分析していくのが日本語のゼミです。
3月に卒業した先輩たちは、次のようなテーマを選び、卒業論文を完成させました。
- 女性誌におけるオノマトペの役割
- お菓子のネーミング-スーパーのプライベート商品とお菓子メーカーの商品を比較して-
- 若者言葉における略語の体系-就活用語における使用意図の分析-
- 日本のお笑いと時代背景-ツッコミの役割と効果-
- 方言のかわいらしさはどこから来るのか
- 「推す」「推し」の意味分析
- You Tubeにおける「やばい」の使われ方
- 歌詞で使われる「僕」について
就職活動中やお菓子を食べている時、お笑いを見ている時など、日常生活の中のいろいろな場面で見つけた「ことば」の研究の種を大切に育てた卒業論文は、どれも非常に興味深いものでした。
「女性誌におけるオノマトペの役割」を執筆した昆ゆいさんは、もともとファッションに興味があってアパレル業界でアルバイトをしており、女性誌を読む機会も多かったそうです。その中に、授業で学んだオノマトペ(ザーザー、ドキドキなどの擬音語・擬態語)が多用されていることに気づき、卒業論文のテーマに選びました。そして、女性向けファッション誌で使用されているオノマトペを丹念にデータ化した上で、それをオノマトペ辞典と照らし合わせながら分析しました。辞典に掲載されていない新しいオノマトペ(ゆるふわ、うるつやなど)も多く見つかりましたが、それらも意味の類推ができることから、オノマトペが自由で豊かな表現力を持つことを明らかにしました。
卒業論文執筆と並行して、アパレル業界への就職活動にも力を入れていた昆さんは、この春から志望していた仕事に就き、現在は新宿の店舗で研修中です。お客様に商品を説明する時や広報などで、いつかオノマトペが役立つといいですね。
昆さんからひとこと
「先輩や周りの方々にも恵まれ、毎日楽しく働いています。2年後に店長になるのが目標です。在校生の皆さん、卒論も就活も、行き詰ったらとにかく周りの人に相談してください。ゼミの仲間も先生方も、きっと期待以上の答えをくれるはずです。コロナ禍で大変かと思いますが、無理のない範囲で自分の興味のあることを突き詰めていってください。応援しています!」
担当教員:栗田 奈美
「『私に英語を教えてもらいたいですか』はだめですか」「『やりぬく』と『やりきる』は何が違いますか」「『学生ではありません』、『きれいではありません』、どうして『高いではありません』と言いませんか」「ひらがな、カタカナ、漢字、システムが3つもあるのは合理的ではないと思います」「1本、2本、3本...1匹、2匹、3匹...これを覚えるのはナンセンスです」「人間はみんな平等ですから、僕は敬語は勉強したくないです」どれも私が実際に日本語学習者から受けた質問やコメントです。皆さんならどう答えますか。こんな場面で味方になってくれるのが、日本語教育や日本語学、言語学、コミュニケーション学などの知識です。