恵泉ディクショナリー

生態系サービス人間環境学科

[せいたいけいさーびす]  Ecosystem Service

生態系サービスとは

生物多様性が人びとに与える有用な機能を「生態系サービス」と呼びます。 これは、昔から日本で「自然の恵み」と呼ばれてきたものとほぼ同じことを指していますが、現在、世界中の人びとがこの用語を使って議論しています。 たとえば、地球規模で生態系サービスの価値を経済学的に推定したところ、世界中の国のGNPを合計した金額の1.8倍にもなりました。

2001~05年にかけて、地球規模の生態系サービスの変化が人間生活にどのような影響を与えるかを評価する「生態系ミレニアム生態系評価(MA)」が実施されました。 ここでは、生態系サービスが、供給作用、緩和・調整作用、文化的効用、サポート(基盤)の4つに分類され、生物多様性がもたらす恵みの豊かさが人びとの幸せに大きな関係のあることが示されました。 今日では、生態系サービスは莫大であって喪失すると取り返しがつかないことから、生物多様性は守るべきと説明されることが多くなっています。
恵泉の『生物多様性論』『持続可能社会論』などでは、こうしたグローバルな環境問題の最新の議論を参考にしながら、身近で具体的な環境について自分の頭で考えることを求めています。

2011年01月13日 筆者: 松村 正治  筆者プロフィール(教員紹介)

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