社会人・卒業生のための「生涯就業力」講座終了のご報告

2018年03月26日
恵泉女学園大学学長 大日向雅美

昨年の10月、恵泉女学園大学とNPO法人あい・ぽーとステーションの協働でスタートさせた「社会人・卒業生を対象とした『生涯就業力』講座」が、3月17日、全課程をすべて終えましたので、そのご報告です。

この講座は女性が自分らしく人生を生きるために、ライフステージ上の悩みとその背景にある社会問題を把握する力・理解分析する力・解決する力を磨くことをめざしたものでした。

参加者は10名前後でけっして多くはありませんでしたが、回を追うごとに参加者が定着して、そのほとんどの方が半年に及ぶ全講座をすべて受講されました。中にはどうしても出席できない回は友人に代理出席を依頼する人も。また会場が子育てひろば「あい・ぽーと」青山(または麹町)でしたので、お子さんを一時保育に預けて受講するなど、皆さんの熱心な受講姿勢が印象的でした。

初回はこの講座をなぜ受講したのか、1分スピーチから始めました。

「ちょうど女性の人生って、なんと山あり川ありかと思っていたところに、この講座に巡り合えた」「他の人はどんなふうに乗り越えているのか知りたくて」等々、皆さんが語るメッセージには、自身の生い立ちから現在に至るまでのさまざまな思いが込められていて、女性として生きている日々に非常に課題の多いことを改めて実感しました。

全10回の講座テーマと講師は以下の通りでした。

毎回、どの講師も非常に精緻なレジュメをご用意くださり、受講者と共に熱く語りあってくださったことは大変有難いことでした。深く感謝いたします。

  1. わたしらしく人生を生きるために(大日向雅美)
  2. 他者と共に歩むための共生力(井上孝代:明治学院大学名誉教授)
  3. 女性が生き延びるための福祉とお金(定松文:本学教授)
  4. 女性として健やかに生きるための食(澤登早苗:本学教授)
  5. 自身を守るための性と人権(水野哲夫:本学非常勤講師)
  6. 女性が働き続けるための健康(大村美香:朝日新聞記者)
  7. 女性が健やかに生き 働くための法律(皆川満寿美:本学非常勤講師)
  8. 女性が健やかに生きるための人間関係(大日向雅美)
  9. あなたも私も大切にするアサーティブコミュニケ―ション
    (髙﨑恵:オフィスピュア ワークショップデザイナー)
  10. わたしらしく生きるための「わたし事」の「社会化」 (大日向雅美&上垣路得)

*事務局
池田由記(NPO法人あい・ぽーとステーション事務局長・恵泉女学園大学Ⅱ期生)
上垣路得(恵泉女学園大学大学院平和学研究科1年生)

さて、受講生の方々はこの講座から何を得られたのでしょうか?
最終回はワークを交えながら、再びメッセージタイムに皆で語りあいました。

ワークは"私にとって結婚とは""子どもとは""仕事とは""自分の中で変えたいと思うところは"等々、14項目について「5年前のわたしにとって」「現在のわたしにとって」「5年後のわたしにとって」をそれぞれの時期別に書き進めるものでした。
そして、それをもとにしながらこの講座を受けての感想などを自由に発表しあいました。
「自分を見つめるということが、こんなにも難しいこととは思わなかった。でも、そこから見つめることができるものと、まだ難しいものの区別ができた思いがする」という方、「自分の置かれている状況が何とも宙ぶらりんでつらいと思っていたけれど、この揺れをジャンプにできそうな気が今、している」と今後の具体的な人生設計を語る方、等々。一人ひとりの明日に向けた思いは違っていましたが、どの人のメッセージにも互いに拍手を贈りあう温かなフィナーレでした。

ワーク
最後に皆で記念撮影

今回の「社会人・卒業生のための『生涯就業力講座』」はトライアルでもありましたが、また次回に向けて準備を始めたいと思う力をいただけました。「この半年、一日一日大切に、そして、次にここに来る日を待ち遠しい思いで過ごすことができました」という一人の参加者の声が何よりの励みになります。