卒業生・社会人のための「生涯就業力」講座開催のご案内
2019年01月21日
恵泉女学園大学学長 大日向雅美
本学が目下、注力している「生涯就業力」は、在学中にその基礎を身につけることは勿論ですが、卒業後も、文字通り、生涯にわたって磨き続けることをサポートするものです。
昨年はその第1回目として、女性が自分らしく人生を生きるためにライフステージ上の悩みとその背景にある社会問題を把握する力・理解分析する力・解決する力を磨くことをめざしました。
さて、今春も第2回目の開催が決定いたしましたので、ご案内いたします。
今春のテーマは、「女性の生き方と3歳児神話」です。
女性活躍が言われている一方で、母親になったらやはり自分のことは犠牲にしてでも子ども第一の生活をすべきだという声が一部で再び語られ始めた昨今です。
たとえば "赤ちゃんはママがいいに決まっている!"。ある政治家が発言して、話題となったのは昨夏のこと。ご記憶の方も多いことでしょう。
- 一方、子育てに専念している母親たちは、こうつぶやきます。
・子どもはかわいいし、子育ての日々に満たされている。でも、母親以外の私はどこに行ってしまったの?"
・"女性活躍という言葉を聞く度に、自分が社会の役に立っていないと言われるみたいで寂しい。
- 働きながら子育てしている母親の胸の内も複雑です。
・保育園等に預けて働いていると、子どもがかわいそうといわれて、つらい
・仕事は続けたい。でも、母親が自分の手で育てないで子どもの発達が歪むと言われて、不安でたまらない。
・子どもは可愛い。でも仕事も好き。仕事も子育てもと望む私は母親としてわがまま?
なぜ、女性の人生は、いつも、このように揺れるのでしょうか?
私がこうした母親たちの声に接したのは、1970年代初めでした。子育てに孤軍奮闘するつらさから、育児ストレス・育児ノイローゼに陥る母親たちの存在が社会現象として注目されたときです。あれから40年......。母親たちがつぶやく声に変わりがないことに、愕然とする思いです。
子育て支援の普及は何のため? ただの少子化対策? 女性の人生支援の視点はなぜ根付かないの? なぜ、いつも、いつまでも女性たちは周囲からこのように干渉され、悩み続けなくてはならないの?
女性が自分らしく生きようとするとき、決まって立ちはだかる「3歳児神話」の壁からの解放の必要性を改めて痛感する昨今です。
「3歳児神話」からの解放は、子育ての大切さや母親がわが子を愛する大切さを軽視するものではけっしてありません。むしろ、育ちゆく幼い命を真にいとおしむことができるためにも、女性が自身の人生に主体的に臨むことができるように、そして、それが子どもや家族、身近な方々を大切にしながら女性としてしなやかに凛として生きる力、すなわち「生涯就業力」のさらなる深まりを目指すものです。
「3歳児神話」からの解放は、日本社会における母性神話の弊害の解明をライフワークとしている私にとってその中核を成すものです。女性が真に「生涯就業力」を磨き続けることをめざして、改めて「3歳児神話」について考えてみたいと思います。
詳細は次の通りです。4回連続の参加も単発の参加も可能です。
<日程と内容>
- 第1回 2月23日(土)10:00~11:30
分かち合いましょう!3歳児神話に苦しむ胸のうち - 第2回 2月23日(土)13:00~14:30
3歳児神話の実態~社会経済的視点から - 第3回 2月25日(月)10:00~11:30
3歳児神話の実態~発達心理学的視点から - 第4回 2月26日(火)14:00~15:30
3歳児神話から解放されて、私はどう生きる?
<場所>
就労中の女性や子育て中の女性も参加しやすいように、都心の港区青山の子育てひろば「あい・ぽーと」(私が施設長を務めています)で開催いたします。
卒業生・社会人の皆様のふるってのご参加をお待ちしております。
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