学生たちが大学教職員にインタビュー

2024年05月20日
恵泉女学園大学学長 大日向雅美

今年の2年生は「生涯就業力STEPⅢ」の授業(必修)で、「他者との出会い-他者と学び、分かち合う力をつける-」をテーマに学びを始めていることは、先日(4月15日)の本ブログでご紹介いたしました。

回を重ねるごとに学びを深めていますが、その中で学生たちが大学の教職員の所に出向いて直接インタビューをし、その結果を発表して皆で分かち合うということがなされました。私もインタビューを受けた一人ですが、3人の学生が学長室を訪ねてきて、緊張の面持ちのなかにも興味深い質問を投げかけてくれて、とても楽しく、心に残るひと時を持つことができました。

本日のこのブログでは、この「生涯就業力STEPⅢ」を運営しているコアメンバーの一人の水上晃実先生に、企画の趣旨等を綴ってもらいました。

水上晃実(教育方法学) 学生たちのインタビューを企画して

生涯就業力STEPⅢという授業

2年生の全学必修科目である生涯就業力STEPⅢの講義テーマは「他者との出会い-他者と学び、分かち合う力をつける-」です。全15回の授業を「他者と出会う」「他者に寄り添う」という2つのパートに分け、第1パートでは他者と出会うことで得る気づきの大切さを学び、第2パートでは、他者に寄り添うことの意義を深く考えます。そして、最終的には、学生たちが他者との関りの中で、自らより豊かな生き方を探る力を身に付けることを目標としています。

学年全員で教室を飛び出し「インタビュー」へ!

4月16日~5月7日にかけて、1つ目のパートである「他者と出会う」というテーマについて3回シリーズの授業を行いました。シリーズ1回目は恵泉女学園中学・高等学校の卒業生でもある丹羽麻子先生にご講義をいただいています。丹羽麻子先生は男女共同参画センター横浜で相談センター長をなさっており、昨年度は「真の女性活躍」「女子大で学ぶ意義」についてお話しくださいました。そして、そのご講義の中で、「分かち合いと平和のリーダーになろう」という言葉を学生たちにお送りくださっています。今年度は、そのメッセージを具現化するために、「分かち合いと平和のリーダーになるためのヒントは、他者と出会う中で見えてくるかもしれない」と語りかけてくださいました。では、丹羽先生のお話しくださったヒントを見つけるために「他者と出会う」にはどうしたら良いのでしょう。「丹羽先生のお心のこもったご講義から得た学びを学生たちに体感してもらいたい」その思いから、学内インタビューを行うことにしました。シリーズ2回目の授業は、2年生全員が2~3名程度のグループになり、学内の教職員に対してインタビューをすることに挑戦したのです。まさに「他者と出会う」を実践するアクティブラーニングの試みです。学生たちは、提示された全グループ共通の質問項目だけではなく、各グループで課題として考えたオリジナルの質問項目も抱えて、緊張した面持ちで一斉に教室を飛び出していきました。インタビューを受けて下さるのは、教員のみならず、事務室各課・メディア教育室・園芸教育室・就職進路室・守衛室・図書館事務室・清掃スタッフのみなさま、そして大日向雅美学長にインタビューをしたグループもありました。インタビューを終えた学生たちはそれぞれ充実した笑顔を見せ、「緊張したけれど新しい自分にも出会えた」「世代の異なる方から貴重なお話を伺えた」と思い思いに感想を聞かせてくれました。シリーズ3回目の授業は、全グループによるインタビューから得た学びの発表です。学年全員の授業ですから人数も多いのですが、代表グループだけの発表では意味がありません。3つの教室に分かれて、全てのグループがインタビューから得た気づきについて、ゴールデンウィーク中に作成したスライド資料を用いてプレゼンテーションを行いました。

恵泉女学園大学だからできたこと

大学生が1学年全て一斉に教室を飛び出してアクティブラーニングを行うということは考えにくいかもしれません。しかし、恵泉であるからこそ、それが実現できたと思っています。恵泉が少人数教育の大学だからという理由だけではありません。最も大きな理由は、本学が、教員だけではなく、職員のみなさまも学生の学びと成長を常に見守ってくださっている大学だと自負できるからです。授業時間内の試みですから、当然、職員のみなさまも業務中です。お仕事中にインタビューに伺えば手を止めていただくことになります。しかし、日頃から学生一人一人に誠実に、そして、優しくサポートしてくださっている職員のみなさまだからこそ、きっとご協力くださると確信していました。その予想は的中し、インタビューを受けて下さったみなさまは、当日だけではなく、シリーズ3回目の発表にもご足労くださり、学生たちにあたたかい拍手をお送り下さいました。今回の「他者と出会う」という3回シリーズの授業を通して、学生たちが得た学びや気づきはそれぞれであり、いずれも学生たちのこれからを力強く支えてくれるものとなることでしょう。しかし、授業から得た学びだけではなく、どの学生にも一様に、恵泉の教職員が今回の授業に快く協力してくださったこと、そしてこれからも、在学中はもちろんのこと、卒業してからも皆の歩みを心から応援しているということを覚えていて欲しいと願っています。

インタビューに際して、水上晃実先生から学生たちに送った動画メッセージはこちらをご覧ください。

こうして行われたインタビューでしたが、各グループの発表もそれぞれにとても充実していて、短い時間の中でよくここまで聴き取って、そしてまとめてくれたと思いました。
次のスライドは、私へのインタビューをまとめたグループ発表の一部です。

また、インタビューを受けた教職員の方々も、さまざまに感想を寄せてくれました。その一部ですが、併せてご報告させていただきます。

オリジナル質問を受けた際、自分自身の体験等自己開示が出来て彼女たちと初めてお話ししましたが、ぐっと距離が近くなりました。不思議と自分が同じ目線になっており、インタビューがとても自然にできていることに感心しました。(教員)
インタビューされるのは初めは正直なところ恥ずかしさもありましたが、インタビュー内容をまとめていただいて自分自身では見えなかった視点・角度で見ていただけたこと感じていただけたことをとても嬉しく思い新鮮に感じました。(教員)
皆さん緊張しつつも、とても礼儀正しく、インタビュー時にはしっかりと目を見てお話しくださったことが印象的でした。
改めてアイコンタクトの大切さを感じ、目を合わすことでお互いに心を開くことができ、コミュニケーションの第一歩となることを感じました。(教員)
短時間のインタビューにも関わらず、皆さんが非常に豊かな学びと気づきをされており感心いたしました。他者と出会うことをどのグループもポジティブに捉えており、これからの皆さんの恵泉での成長が楽しみになりました。(教員)
とても素直な姿勢で、一生懸命に聞いてきてくださったことが印象的でした。答える中で「伝わるようにお答えする・話すこと」の大切さを実感し、「伝える力」をもっと磨かなければと思わされました。
オリジナルの質問は想像していた以上に多くて、楽しかったです。お二人の姿勢から、相手と向き合う勇気をもつこと、素直に誠実に応答しあうことが、他者とのかかわりを構築していく第一歩であることをあらためて学ばせていただきました。(職員)
聞いたことをそのまま発表するのではなく、いろんな話をした中で自分たちが感じたこと、考えたことを自分たちの言葉でまとめられていました。前回のインタビューから今回の発表までわずかな時間だったと思うので、きちんと形にされていて凄いなと思いました。(職員)
学生たちのグループ発表と進行役の水上先生
学生たちにインタビューを受けた感想を伝えている職員の方々(右端はSTEPⅢのコアメンバーの桃井和馬先生)