世界を変える、世界は変わる、一人ひとりのその一歩で
~2019年度サンティアゴ巡礼道プログラムにむけて~

2020年02月07日

恵泉女学園大学では、2020年2月10日~3月25日まで、スペインの世界遺産「サンティアゴ巡礼道」に5人の学生を送ります。

サンティアゴ巡礼は、10世紀から始まったキリスト教の祈りの道で、スペインの北西部にある街サンティアゴ・デ・コンポステーラを目指す巡礼道は、スペインだけでなく、ポルトガル、フランスなどからも続いています。

今回は、フランス南部の町サン・ジャン・ピエ・ド・ポーから、およそ800キロ先にあるサンティアゴ・デ・コンポステーラを徒歩で目指します。

毎日歩くのは、およそ20~30キロ。旅の中で学生たちは、自分とは何かを問い続けるだけでなく、世界の平和、地球環境を考え、語り続けます。

本学のHPでも、随時、旅の様子をアップする予定にしています。

皆様も、応援をよろしくお願いいたします。

早速ですが、その第一弾としてまもなく現地に出発する引率者の桃井和馬先生よりメッセージが届いています。

2019年9月、ニューヨークで開催された【国連気候行動サミット】で最も世界の注目を集めたのは、スウェーデン出身の若者グレタ・トゥンベリさん(16歳)のメッセージでした。

『今後10年間で、温室効果ガスの排出量を半減させ、産業革命以来の気温上昇を1.5度に抑えられる可能性は50%しかない』
『それに失敗した場合、人類は、不可逆的な、環境の【負の連鎖】に襲われる可能性がある』
『現状では、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の想定を越えるCO2排出が続いており、気温上昇を1.5度に抑える確率を67%にできる限界は、8年半で迎えてしまう』(桃井抄訳)

日本でも、日常的に「これまでに経験したことがない」豪雨や台風が襲うようになった昨今、『国立環境研究所・地球環境研究センター』の江守正多副センター長は次のようにコメントしました。

「『温室効果ガスが増えれば、温暖化していく』というのは、科学的には明らかだろう。(中略)1.5度を超えてさらに温暖化していくと、後戻りできない変化が始まる。たとえば氷がとけるのが止まらなくなる、メタンが吹き出す、アマゾンの熱帯雨林が枯れていくなど、1つスイッチが入ると、それによって起こされた変化が次のスイッチを入れてしまうような、ドミノ倒しのような連鎖反応が起きていく」(NHKクローズアップ現代 2019年9月26日放送より一部を抜粋)

江守氏の発言は、グレタさんの危機感を裏付けてしました。
2018年、グレタさんが一人始めた地球環境の危機を訴えた行動は、1年後、世界700万人の主に若者を動かすまでになりました。世界中の若者が、グレタさんの危機意識を共有し始めていると言っても過言ではありません。

私たち、サンティアゴ巡礼道プロジェクトはすでに4回(それぞれ400~950キロ)、スペインを中心に歩いて来ました。
そこで毎回、地元の人々が口をそろえるような「これまでに経験したことがない寒さ」や「暑さ」を実際に経験してきたのです。毎日歩き続けたからこそ分かる地球規模の環境異変を体験してきたのです。

2020年2月10日~3月25日まで、私たち恵泉女学園大学からは学生たちがサンティアゴ巡礼に向かい850キロを走破する予定にしています。
今回の巡礼テーマは【Climate Crisis!】です。
この標語をプリントしたTシャツを着て、「気候危機の時代、私たち一人ひとりは何ができるか?」を日本の若者たちが、フランスからスペインまで850キロ歩きながら訴えるのです。
自らの足で大地を踏みしめ、地球の吐息を全身で感じながら、人類が直面する地球環境を、思索し、日本の若者発の訴えとして、日本だけでなく、スペインをはじめとしたヨーロッパ全土に向きて発信していきます。

巡礼とは、「祈り」の旅です。
私たちは、気候危機の時代にあって、人類と地球の未来を祈りながら、それぞれの力で、仲間と共に、一歩一歩、足を前に進め続けます。

桃井和馬 恵泉女学園大学特任教授

先日、サンティアゴ巡礼に参加する学生たちはサンティアゴ巡礼の訓練として2日間合宿を行いましたが、以下はこの合宿に参加した本学学生、枡居奏さんの感想です。

2020年1月30日 人間社会学部 社会園芸学科3年 桝居奏

2020年度『スペイン・サンティアゴ巡礼道プログラム』の出発を前にした2days合宿@あきるの市の第1日目

「求めなさい。そうすれば、与えられる。探しなさい。そうすれば、見つかる。門をたたきなさい。そうすれば、開かれる」
(マタイによる福音書7章7節)

入学式の時、学長の大日向先生からいただいた聖書の言葉です。

私はその言葉を胸に学生生活を送ろうと決意しました。
自分が欲しいものも、やりたいことも自分から求めよう。
自分の人生を切り開くため戸を叩こう。

大学入学から3年も経って、4年生が目前となり、就活が目前となった今、サンティアゴで私はまた自分から求め、探し、戸を叩く。

もしかしたら、求めていたものが与えられないかもしれないし、求めていたものと違うかもしれない。
探しても見つからないかもしれない。
戸を叩いても開かれないかもしれない。

それでも、サンティアゴ巡礼に行く。
可能性がある限り挑戦するのみだ。

日本での事前合宿の初日(1月28日)、多摩からあきるの市へ、30kmの道のりを必死に歩いているときそう思いました。
スペイン行きを目前に控え、不安と期待の混じる、でも充実した一日でした。

桃井和馬先生の教員紹介

サンティアゴ巡礼道プログラムについては学長の部屋でも紹介しております

桃井先生による過去の巡礼道体験記は昨年12月にNHKでも放映されました。
こころの時代~宗教・人生~「戦場から祈りへ」

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